
健康のために「たんぱく質をしっかり摂ること」は、今や健康の常識ですが、食生活を間違えると、かえって身体に負担をかけてしまうことになります。その鍵を握るのが胃や腸の消化力です。今回は、日本人に合った食生活について改めて考えます。

食べた物は、最初に胃のたんぱく質分解酵素によって消化されます。胃で消化されたたんぱく質は、十二指腸でさらに消化され、アミノ酸やペプチドまで分解され、身体の栄養として吸収されます。ただ、胃の消化力が弱いと消化しきれなかったたんぱく質が腸へ運ばれ、そこでも吸収できないと、アンモニアなどのガスを発生させます。
日本人は胃の消化力の弱い人が多いといわれています。特に、年齢を重ねると消化力は落ちてくるため、若い頃と同じような食生活が合わなくなってきます。

胃の消化に負担をかけないためには、食物酵素を含んだ食べ物がおすすめです。果物や生野菜、お刺身など火を通さない食べ物は、食物酵素を含んだ消化しやすいものの代表格です。胃や腸の調子がおかしいと感じたら、生の食材を増やすようにしてみましょう。
また、納豆や味噌、漬物などの発酵食品も消化力を手助けしてくれる食材です。ただヨーグルトやチーズなどは、乳糖を消化吸収する消化酵素を持っている人が少ない日本人には合わない場合があります。
一方で、海苔やワカメなど海藻を取り込める消化酵素は、日本人特有のものといわれています。

人は生まれ育った地域の食事が身体に合っているものです。地産地消の食材を使った伝統的な和食メニューは、日本人の胃や腸に負担になりにくく健康な身体づくりの助けとなります。消化が落ちていると感じたときには、ご飯、お味噌汁を基本に、肉料理よりもお刺身や煮魚、揚げ物よりもお浸しや煮物、スイーツよりも旬の果物を。もちろん消化に問題がなければ、肉料理で栄養を補うのも必要なことです。
一方、白米を抜く糖質制限が流行っていますが、日本人は白米などのでんぷんを糖へと分解するアミラーゼ遺伝子を多く持っています。アミラーゼ遺伝子が多いと白米を食べても太りにくいので、糖質制限はほどほどに。それよりも食物酵素が豊富でバランスの良い食事を心がけたいものです。
日本に欧米食が入り込んできた頃から、生活習慣病が増加しています。その原因はさまざまあるものの、今こそ食物繊維たっぷりの和食に立ち戻ることを考えてはいかがでしょうか。
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