
生命保険の受取人が今は亡き前妻のままであった場合は、誰が受取人になるのでしょうか?
先日、夫が亡くなり、夫が加入していた生命保険契約を確認したところ、受取人が離婚した前妻に指定されたままになっている契約が見つかりました。
確認したところ、前妻は既に亡くなっていました。前妻には再婚した配偶者がいますが、両親、子どもはいません。また、夫と前妻の間にも子どもはいません。この契約の死亡保険金は誰が受け取るのでしょうか?
また、今からでも受取人を変更することは可能ですか?
- 保険種類:終身保険
- 契約者(保険料負担者)、被保険者:夫
- 受取人:前妻A(既に死亡。Aには再婚した配偶者がいる)
- 保険料:Aとの婚姻期間中に払込完了
死亡保険金の受取人は、Aの配偶者になります。また、既に被保険者が亡くなっているため、受取人を変更することはできません。
死亡保険金請求権は、被保険者(=ご主人様)が亡くなった時点で受取人に指定されているAの権利になります。
そのため、受け取る死亡保険金はAの固有の財産として扱われます。Aが既に亡くなっている場合、固有の財産である死亡保険金は、Aの相続人が受取人となります。今回の受取人は、Aの配偶者です。
生命保険契約において、受取人の指定は保険期間中に契約者が被保険者の同意を得て行う権利です。今回、ご主人様が亡くなっているため、受取人の変更はできません。
Aの配偶者が受け取った死亡保険金は、「遺贈」により取得したものとされ、「みなし相続財産」として相続税の対象になります。
税負担が発生するか否かは、ご主人様の相続財産総額によりますが、Aの配偶者はご主人様の法定相続人ではないため、相続税の計算においては、生命保険の非課税枠(※1)は適用できず、税額は2割加算(※2)の対象となります。
※1 (500万円×法定相続人)を限度として、相続税の計算上非課税とすることができる。
※2 相続、遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される。
単純な手続きの失念か意図的かは分かりませんが、立場によっては不本意な遺産分割や揉め事を招くおそれがありますので、結婚、離婚など環境が大きく変わるときには目に見える財産に関する協議は勿論のこと、保険金受取人についてもきちんと確認・協議しておくことが大切です。
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