家と財産を守るための〜不動産の相続対策
家と財産を守るための〜不動産の相続対策
文書作成日:2022/04/20


 都市計画道路にかかるアパートを建替える際に、注意すべきことを教えてください。




 敷地の一部が都市計画道路にかかるアパートを相続しました。将来、アパートの建替え等も含め検討したいのですが、どのようなところに気をつければよいでしょうか?




 都市計画道路の区域内で建築を行う場合、都市計画法の規定により、いくつかの制限が設けられている点に注意してください。ただし、建築制限の緩和措置を設けている自治体もありますので、建替え計画時には事前に自治体へ確認されるとよいでしょう。



1.都市計画道路とは

 都市計画道路とは、都市計画法で将来的に道路を拡張したり、延長したりする計画が決定している道路をいいます。

 都市計画道路は直ぐに道路が建設されるとは限らず、「計画決定」段階と「事業決定」段階の2種類に分かれます。

「計画決定」段階 「事業決定」段階
定義 計画まで決めているが事業への着手時期が未定の道路 既に着手している、もしくは着手が決定している道路
留意点 「計画決定」段階では、長期にわたり事業化に至らないこともあれば、計画の変更や廃止を伴うこともあるため、事業化の予定や敷地のどの部分が都市計画道路にかかるかを、自治体に確認し把握しておくことをお勧めします。 都市計画道路が事業化された場合、補償の対象は、都市計画道路にかかる部分のみとなり、その部分の補償金が支払われることになります。
残地部分の面積や形状等からアパート経営が最も有効な使用となるのかを踏まえ、事業計画の見直しも必要となります。
2.都市計画道路の区域内で建築を行う場合の制限
(1)建築制限

 都市計画道路の区域内で建築を行う場合、都市計画法の規定により次のような制限が設けられています。

  • @階数が2以下であること
  • A地階を有さないこと
  • B主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根・階段)が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造等であること
  • C容易に移転、除去できるものであること
(2)建築制限の緩和

 長期間にわたり事業化されない都市計画道路は、その実施時期が不明確のまま土地の有効利用が妨げられており、次のような基準で建築制限の緩和を取り入れている自治体もあります。

  • @近い将来に事業化が見込まれていないこと
  • A階数が3以下で地階がないこと
  • B主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造等であること
  • C容易に移転、除去できるものであること

 主に階数制限の緩和となりますが、アパート経営ではキャッシュフローに影響を及ぼしますので、建替えを計画される際は、アパート所在地の自治体に確認する必要があります。

 都市計画道路の事業化予定を注視しながらも、現在のアパートのキャッシュフローや維持管理費等を把握し、運営方針を決めていく必要があります。ご相談は、お気軽に当事務所へお問い合わせください。


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